2013-05-30

家族の肖像

誰かの写真を撮るということは、

シャッターを押すまでにどれだけ相手のことを考えているか、ということ。

そして、今後その写真が、誰かのどんな役割を果たす写真になるのか責任もつこと。

そして、撮る時は絶対泣かないこと。

そうなんだ。

0016

 

 

 

 

 

 

 

※どうか大切な写真ですので無断での転記、転載をお断りします。

 

今展示をしているコマカフェさん一家。
今週から奥様が入院されています。

 

ご主人の西田さんは学生の頃からの先輩で、同じギャラリーでアルバイトしていたことがありました。

「僕も結婚することになりました。カフェを始めました。」とご連絡はいただいていたものの、私も妊娠、出産と相次ぎ、小さい子を連れては行きにくいかなー…と伺えないままに何年も経っていました。

FBで再会し、私が食の安全性を考えていた頃、ふと思い立って初めてコマカフェさんに行ったのが去年の夏ころです。

昼時も終わる14時前に、何も言わずに急に行ったので、まずは定食をいただいて、置いてある本を読んだりして、帰るときに「西田くんはいらっしゃいますか?」と聞いたのが奥さんでした。

その時はご挨拶をして、ちょっとお話をしただけだったんですが、あまり口数の多い人でもなさそうだし、

その後の展示の打ち合わせで伺った際も、だいたい買い出しなどに行かれることが多くて、ご挨拶程度でした。

 

で、ちょうど展示期間中に入院が重なることになったと西田君から聞きました。

それは手術をすれば治るものだと聞いて、少し安心していたのですが、展示が始まって彼女の後ろ姿を見ると随分と痩せておられました。

5/24に撮影会をするにあたって、「テスト撮影を西田君家族で」という話があったんですが、

いや、普通に考えて、奥さんは写りたくないんじゃないか?
でも、私としてはお顔や身体がしっかり写らなくても、なんとか写ってもらえないだろうか?って勝手に思っていたのですが

やはり彼女の答えはNGでした。

そうだよな、普通はそうだよね。と思っていたのですが、展示が始まって彼女の心境に変化がありました。

「手術前の今の私を撮ってほしい」と言ってくれたんです。
「よし!」と思いました。

 

私は手術前の写真を撮ること、そしてもちろん、回復後の写真を撮ること。
とても意味があると思います。それこそ、写真のなせるワザだと思います。

そこを彼女は私の写真を見て、私になら撮られてもいいと思ってくれたんじゃないかって、撮っておこうと思ってくれたんじゃないだろうか。

だからものすごーく考えたんです。どうやって撮るべきか。

電気を一つだけ入れたのは、家族の象徴というか、一つ屋根の下感を出したかったから。
展示が始まって、コマカフェさんのメニューも色々いただいたんですが、豆乳アイスがおいしくてのけぞりました。
あ~なるほど、このお店はデザイナー西田氏のセンスで店内の統一された雰囲気がいいことももちろんだが、
みんなこの奥さんの手から作り出されるこのお料理に引きつけられているんだぁとよくわかりました。
スタッフの方も常連の方も、みんなこの奥さんの引力なんだって。
奥さんは写真を見てとても喜んでくださったので、本当によかった。
ご夫婦だけの写真も撮って、それも好評でした。とってもいい!写真だと私も思います。

病院のベットに飾ってくださってるみたいです。

写真にできること、あらためて考えることができました。
ありがとうございました。

今は奥さんが回復されて、西田君家族と私の家族で一緒に打ち上げできる日が楽しみです。
子どもも歳が近いし、夫と西田君は理屈っぽいもの同士話が合うみたいだからね。

 

 

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください